Velocity by Dean R. Koontz

ワールドカップでなかなか本を読む時間がなかったんですけど、Dean R. Koontz の Velocity を読み終えました。
結構、面白かったです。久しぶりに当たりでした。

フィアンセがこん睡状態になり、バーテンダーをやりながら、隠遁生活の様な人生を送っていた元作家の Billy Wiles がいつもの仕事の帰りに車に乗ろうとすると車のウインドウに

"If you don't take this note to the police and get them involved, I will kill a lovely blond schoolteacher somewhere in Napa County. If you do take this note to the police, I will instead kill an elderly woman active in charity work. You have six hours to decide. The choice is yours."

「もしこのメモを警察に持っていかなければ、可愛らしいブロンドの教師を殺す。もしこのメモを警察に持っていけば、チャリティの仕事をしている博愛家のお年寄りを殺す。６時間以内に決めろ。決めるのはお前だ」というメモがあり、そこから、Billy の隠遁生活のような人生から Velocity と言うタイトルの通りに、速度を増しながら、速いテンポで猟奇的な殺人や Billy 自身が襲われたりと進んでいき、精神的にも肉体的にも追いつめられていきます。

少し残念だったのは、テンポがよく、ちょっと背景が分からなかったりしても軽快に進んでいくのは Dean R. Koontz の良い所でもあり、私もそう言う軽い本は基本的に好きなんですが（あまり難しい洋書は理解できない・・・ ）、所々に出てくる考えさせられるフレーズ（T.S. Eliot の作品からだそうですが）等、この本はもう少し詰めればもっと重厚な作品にもなったんじゃないかなと思います。

殆ど姿を現さない犯人も最後の方のストーリーをもう少し考えれば、「羊達の沈黙」のレクター博士の様なある意味魅力のある怪物に育てられたんじゃないかと思うんですが・・・

ベストセラー作家は短期間で作品を仕上げるので、細部や最後の終わり方にいつも若干の不満が残ります。テーマの選び方やストーリーの展開が上手いだけに残念です。

私は面白い本だと思いますが、The choice is yours.
（別に読んでも読まなくても、その為に誰かが死んだりはしませんが・・・ ）

Dean Koontz official web site